雨の日が大嫌いだった。
子供の頃はゲームもないし、携帯もないし、韓国ドラマの配信も無かった。 だから外に出れない時は、本を読んだり、絵を描いたり、塗り絵をしたり、そんなことをして過ごすことが私の家の『普通』だった。
でも私は本を読むのも、絵を描くのも、塗り絵をするのも嫌いだった。
家にあった本はつまらなかったし、絵を描いたり塗り絵をするのは「もっと丁寧に書きなさい、もっと綺麗に塗りなさい、下手くそなんだから」と言われすぎて、自分の描いたものを常に誰かと比べてしまって、嫌な気持ちになるから嫌いだった。
そうしてボ〜ッと雨の音を聞いて、空から雨がポタンポタンと落ちてくるのをみて過ごすのが、雨の日の私だった。
それが見つかると、「ボーっとしてないで本でも読みなさい」の声が降ってくる。
あ〜これ以上怒られたくないから、つまらないし読みたくないけど読まなくちゃ。
でも結局読まないか怒られた。 だから雨の日は嫌いだった。
今年の春、メンタルがあっちに行ったりこっちに行ったりして、もうどうにかなってしまいそうだった日の朝雨が降ってた。 もう理由なんて覚えていなかったけど体に染みついた『嫌いな雨の日だった』
『今日も一日何も出来ずに過ごすのか…』とドンヨリ思っていた瞬間『とき』、私の耳から心に雨の音が響いた。
ザー、ポタンポタン、ピシャンピシャン、その音をきていたら、長い間苦しかった私の胸の真ん中が急にフワッと軽くなった。
今私は雨が降ると、その音を聞くのが大好きだ。雨が上がって空気が変わる瞬間も好きだし、鳥が「ピー」って鳴くのを聞くのも好きだし、濡れた地面を車が走って「ざー」っという音がするのも好きだ。

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