医師から

「〇〇さん、がん細胞でてないです。出てるのは良性の乳腺の細胞と脂肪です」と組織診断の結果を言われたあの日、私は一緒に結果を聞いてくれた旦那と一緒に顔を見合わせて、安堵し喜んだ。 しかし、結局MRIで見えた嫌な影については今のところどうなるかわからないから、半年ごとの経過観察が必要と言われた。 それを聞いて『まだ今は検査では見つからないくらいの癌が体の中にいるかもしれないし、これから癌ができてくるところかもしれないんだ。だからまだ、ただ良かったと喜んではいけないんだ。』と思った。 

乳がん検診の結果を聞きに行った日からこの日までずっと病気について考えて、自分なりにどうやって乗り越えていこうかとそればかり考えていた。 

そして私は自分がどうすればいいのか、何をしたかったのかがわからなくなった。 病気のことばかり考えていた心の中にポカーンと空洞が出来た。

そして病気ではないから、早く働きに行かないと! と気持ちが焦り、今まで何にもしないで生きてきたからこれからは自分が何かしたい事を見つけて生きて行かないと! と思った。

会社に応募して研修を受ける予約をして、好きなことで何か自分のスキルになることがないか探して通信で大学に行こうと思いパンフレットを取り寄せた。

でも心にポカーンとあいている大きなあなは全く埋まらないし、私ではない私が必死に何かをしようとしていた。

そんな時次男の大学のオープンキャンパスである女子生徒さんの作品に惹かれた。 触っても良い! のマークが付いていた作品だったので手にとった。 色をテーマに彼女が生きてきた人生が表現されていた。

自分の色と人の色を比べる必要はないし、人の色に自分の色を合わせなくていい。 自分の色を生かして探して生きていけばいい。 と書いてあった。 『あ〜 そうだった。 誰かが仕事で社会に実績を残すことをしていても、誰か好きなことを勉強していても、それはそれ。 私は私の生き方、私は私でいい。』と気付いた。 私にか出せない誰にも真似のできない色があることを彼女が思い出させてくれた。 心の中の大きな空洞がなくなった。 

人は何度も何度でも同じことで悩んだり苦しんだりする。 でも自分の持っている感覚をいつも感じて生きているとそこから答えが見つかることがある。 と私は思う。

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